味覚障害のデブの暮らす街で


無機質な温かさのない部屋でニワトリがバラバラにされるのを見ていた。首が落とされたり、およそ生き物の中にあるとは思えない色の内臓が見える度に周りにいた人達は驚きと喜びを孕んだ小さな悲鳴をあげて、それはもうどうでも良かった。私は綺麗に並べられた肉塊を見下ろしながら同じコミュニティで暮らすことの面倒臭さや、そもそもそうさせたのは自分だということにイライラしていて、「お前はどう?」「痛いって分かる?」なんてニワトリだったそれに聞いていた。すると内臓を抜かれ守るものがなくなったあばら骨は私に言った 「まだニワトリだ。まだニワトリだからお前を食い殺す」驚いた!!ニワトリだったと思っていた肉塊はまだニワトリで、おまけに相当な大食漢だったのだ。けれど二秒後にはコロナとライムの相性で頭が一杯だった私は、「溺れたかった」。そう言ってさっきから黙って見てるあの監視カメラに中指立てて天使のポーズ。

松井 良太