細い影


しばらくの間長い文章を書いていないせいか、以前より物を書いたり説明したりするのが下手になっている気がする。文章を書かなくなった理由は数あれど、おそらく今、自分がファッション関係にハマりすぎてることが大きいんだろう。語りたい歴史も個人的な好みやその対比も山ほどあるんだけど、まだ他人に偉そうに語れるほどの自尊心がついてないから言葉にすることはない。そうして自分の中での楽しみ方が肥大して脳が膿んでいく。やっと他人に話したくなったその頃には資本はいくらか欠けているんだろう。当然、この場合の資本とは身体の問題である。

しかし祈っているばかりでは落ちていくだけなので、常に上を。


日々のこと。私はどれだけ忙しくても包丁を毎日研ぐようにしているのだが、その心は真面目な自分らしいとても綺麗なものだと思っている。刃物を通せば、この生きにくい性格も悪くないと思える瞬間が、たまーにある。本当にたまーにね。


松井 良太